■『変身』NEW
著者:カフカ/訳:高橋義孝 昭和二十七年発行 新潮文庫
□ある日(中略)目をさますと、見えるは絶たれた夢と尊厳に、宙をかく足ばかり。人間が夜に死に生まれ変わる朝に、それが希望を持って訪れるとは限らないが、それもまた希望と共に訪れる誰かの朝。
■ 『それをお金で買いますか 資本主義の限界』
著者:マイケル・サンデル/訳:鬼澤忍 2002年発行 早川書房
□ 卵が要るとする。庭で鶏を飼うか隣人に貰うか隣人から
盗むか神に祈るかを通り越したスーパーのその先のマーケット
<市場>に見えるのは本質が先か。歪が先か。
■『猟奇博物館へようこそ 西洋近代知の暗部をめぐる旅』
著者:加賀野井秀一 2011年発行 白水社
□ 麻痺する感覚二度見て視覚。手の平サイズの見世物小屋では
自分以外皆見世物<フリークス>だと思っていたのに。
指でめくった特別展示室に晒されていたものとは?
■『王様も文豪もみな苦しんだ 性病の世界史』
著者:ビルギット・アダム/訳:瀬野文教 2003年発行 草思社
□ 罪人<つみびと>にしか罰<バチ>が当たらない時代<ルール>は、
罪人でなくても罰が当たる時代へ。「死を想え」は「生を想え」の、
生死観<男も女もきちんとしましょう>へ。
■『ダブリナーズ』
著者:ジェイムズ・ジョイス/訳:柳瀬尚紀 2009年発行 新潮文庫
□ ダブリン市民の会話<運命>と生活<宿命>が、
時代を超え国境を超え、日本人の何か<日常>に響く。
感じることを禁じえない、底冷えだけでなく頬の上気を。
■『ベストセラーの世界史』
著者:フレデリック・ヴィロワ/訳:大原宣久・三枝大修 2013年発行
大田出版
□ 良作よりも産み難(がた)く、愚作よりも読み難(にく)い。
ベストセラーのそれ<商業的成功>は、最善を尽くすそれ<宣伝広告>
以外、可<必然>か不可<偶然>か、の、産物か。
■『遠山啓のコペルニクスからニュートンまで』
著者:遠藤豊・榊忠男・森毅=監修 1985年発行 太郎次郎社
□ 自己啓発本にハウツー本に名言集。スピリチュアル本に
占い本に聖書。生きる「ヒント」を、100万冊読んでも
(デジタル版含む)、物足りない方、「答え」あり〼。
■ 『媚薬の博物誌』
著者:立木鷹志 1993年発行 青弓社
□ チョコレイトは惚れ薬?人魚の肉は不老長寿の素?
空を飛ぶ薬は実在した?世界の平和なんかより、誰もが
願い望みすがる夢<成分>は、冗談半分と本気半分でできている。
■『香水 ある人殺しの物語』
著者:パトリック・ジュースキント/訳:池内記 1988年発行 文藝春秋
□ 文字を印字した紙を束ねたここまで<匂い>が脳裏に焼きつく物が、
いかに奇作で異作で名作であるか燃せずとも知るのは鼻で、
心のであろうと火を見る必要はない。